2012年9月29日土曜日

艇長が天井から墜落されたのでなかろうか


(あっ、艇長が天井から墜落されたのでなかろうか)
 三郎は、あの大きなもの音こそ、艇長の大きなからだが床をうった音だと思った。
「艇長。どうされました」
「ああ風間か。わしのことなら、大丈夫じゃ。今、下におりる」
 下におりる。
 艇長の声は、三郎の考えていたのとはちがって、やはり天井の方からきこえた。
 仕切りの扉が、細目にあいた。そして艇長の顔が、鴨居のところから、こっちをのぞいた。
「ああ、艇長。よく、お落ちになりませんでしたねえ」
 と、三郎がため息をつくと、艇長は、仕切りの扉をぎしぎしならしながら、それを伝って下へおりながら、
「あはは。艇長が落ちたりして、どうするものか。ちゃんと棚の上に手をかけて、つかまっていたよ」
「でも、さっき大きい音がしましたねえ。艇長が落ちられたのにちがいないと思いました。すると、あの音は、何の音だったんでしょうか」
「ああ、あの音かい」
 と、艇長は、下へおりて、ほこりの手をはらいながら、うしろをふりかえって、
「あの音は、そこに転がっている鞄だよ。棚から、すこしはみだしていたところへ、重力が加わったから、落ちたのさ。わしが落ちたら、あれくらいの音じゃすまないよ。わははは、まあとにかくわしも起きるとしよう」
 艇長は、ゆうゆうと服を着かえだした。
「おい風間、お前は知らんだろうが、今日はこの噴行艇から、とてもめずらしいものが見えるぞ。宇宙旅行の、ほんとうの味は、今日はじめて出てくるといっていいのだ。おい、わしの話を聞いて、ちっとは悦べよ」
 艇長は、けげんな顔の三郎をかるくからかった。


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