やがて、ホテルは寂然として、遠くで馬の嘶くのが聞える。窓の外を赤蜻蛉。
竹行李に腰を掛けて、端坐した人參お手代、端坐だけに尚ほ間が拔ける。
「はてな。」とはじめて氣が着いて、主人が渡して行つた鍵をガツチリ、狼狽眼で開いて見ると、這は如何。箱の底から、階下の廊下が見通しであつた。行李は、元來の底なしで、今のどたばたの音に紛れて、見事、天井を切つて、人參を拔いたもの。
いや、其の時の手代の樣子が、井戸に落した音のやうで、ポカンとしたものであつた、と云ふ。さて/\油斷は成らぬ世の中。
次手にとぼけたのがある。江戸の掏兒は、人の下駄を脱がすと聞くが、唐人だけに穿いて居る靴を脱がされて、剩へ屋根へ上げられた、と云ふのが一つ。
むかし唐土長安のハイカラ、新しい買たての靴で、キユツ/\などとやり、嬉しさうに、爪先を見て、ニヤ/\と町を通る。
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