2012年6月9日土曜日

飯のつけやうも効々しい女房ぶり

飯のつけやうも効々しい女房ぶり、然も何となく奥床しい、上品な、高家の風がある。  白痴はどんよりした目をあげて膳の上を睨めて居たが、 (彼を、あゝ、彼、彼。)といつてきよろ/\と四辺を※す。  婦人は熟と瞻つて、 (まあ、可ぢやないか。そんなものは何時でも食られます、今夜はお客様がありますよ。) (うむ、いや、いや。)と肩腹を揺つたが、べそを掻いて泣出しさう。  婦人は困じ果てたらしい、傍のものゝ気の毒さ。 (嬢様、何か存じませんが、おつしやる通りになすつたが可いではござりませんか。私にお気扱は却つて心苦しうござります。)と慇懃にいふた。  婦人は又最う一度、 (厭かい、これでは悪いのかい。)  白痴が泣出しさうにすると、然も怨めしげに流盻に見ながら、こはれ/\になつた戸棚の中から、鉢に入つたのを取出して手早く白痴の膳につけた。 (はい、)と故とらしく、すねたやうにいつて笑顔造。 簡単にできる被リンクを増やす方法 | Gather 何でも役立つ便利なブログ