2012年6月9日土曜日

さて、其から御飯の時ぢや

「さて、其から御飯の時ぢや、膳には山家の香の物、生姜の漬けたのと、わかめを茹でたの、塩漬の名も知らぬ蕈の味噌汁、いやなか/\人参と干瓢どころではござらぬ。  品物は佗しいが、なか/\の御手料理、餓えては居るし冥加至極なお給仕、盆を膝に構へて其上を肱をついて、頬を支えながら、嬉しさうに見て居たわ。  椽側に居た白痴は誰も取合はぬ徒然に堪へられなくなつたものか、ぐた/\と膝行出して、婦人の傍へ其の便々たる腹を持つて来たが、崩れたやうに胡座して、頻に恁う我が膳を視めて、指をした。 (うゝ/\、うゝ/\。) (何でございますね、あとでお食んなさい、お客様ぢやあゝりませんか。)  白痴は情ない顔をして口を曲めながら頭を掉つた。 (厭? 仕様がありませんね、それぢや御一所に召しあがれ。貴僧御免を蒙りますよ。)  私は思はず箸を置いて、 (さあ何うぞお構ひなく、飛だ御雑作を、頂きます。) (否、何の貴僧。お前さん後程に私と一所にお食べなされば可のに。困つた人でございますよ。)とそらさぬ愛想、手早く同一やうな膳を拵えてならべて出した。 SEOのための被リンクは悪なのか? - わくわく広場ブログへようこそ 言い訳の極意はタイミング次第 犬大好き集まれ!犬ペット専門ブログのいぬblo!