2013年4月21日日曜日

露子は、貧しい家に生まれました

 露子は、貧しい家に生まれました。村の小学校へ上がったとき、オルガンの音を聞いて、世の中には、こんないい音のするものがあるかと驚きました。
それ以前には、こんないい音を聞いたことがなかったのです。  露子は、生まれつき音楽が好きとみえまして、先生が鳴らしなさるオルガンの音を聞きますと、身がふるいたつように思いました。そして、こんないい音のする器械は、だれが発明して、どこの国から、はじめてきたのだろうかと考えました。  ある日、露子は、先生に向かって、オルガンはどこの国からきたのでしょうか、と問いました。すると先生は、そのはじめは、外国からきたのだといわれました。外国というと、どこでしょうかと考えながら聞きますと、あの広い広い太平洋の波を越えて、そのあちらにある国からきたのだと先生はいわれました。  そのとき、露子は、いうにいわれぬ懐かしい、遠い感じがしまして、このいい音のするオルガンは船に乗ってきたのかと思いました。それからというもの、なんとなく、オルガンの音を聞きますと、広い、広い海のかなたの外国を考えたのであります。  なんでも、いろいろと先生に聞いてみると、その国は、もっとも開けて、このほかにもいい音のする楽器がたくさんあって、その国にはまた、よくその楽器を鳴らす、美しい人がいるということである。で、露子は、そんな国へいってみたいものだ。どんなに開けている美しい国であろうか。どんなに美しい人のいるところであろうか。そしてその国にいくと、いたるところでいい音楽が聞かれるのだと思いました。それで露子は大きくなったら、できるものなら、外国へいって音楽を習ってきたいと思いました。露子の家は貧しかったものですから、いろいろ子細あって、露子が十一のとき、村を出て、東京のある家へまいることになりました。 お台場 歯医者 クレジットカードでSEO対策を展開