雑誌の禁止は困ったことになったものだね。しかしこれもお上の御方針とあれば致し方がない。
かくして生活の方法を奪われたことであれば、まず何よりも生活をできるだけ縮めることが必要だろう。家もたたんでしまうがいい。そして室借生活をやるがいい。何か新しい計画もあるようだが、これはよく守田や兄などにも相談して見るがいい。社会の事情の少しも分らん僕には、なんともお指図はできないが、要するに仕事の品のよしあしさえ選ばなければ、何かすることはあろうと思う。日に十一、二時間ずつ額にあぶらして下駄の鼻緒の芯を造って、そして月に七、八銭ずつの賞与金というのを貰っている人間の女房だ。何をしたって分不相応ということがあるものか。
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