2012年11月21日水曜日

係長が仕方なく苦笑すると

 係長が仕方なく苦笑すると、技師は直ぐに片盤坑の入口の大きな防火扉を引寄せて、水平坑道でうろたえ始めた坑夫や小頭に事情を含め、係長と一緒に片盤坑へ飛び込むと、外側から防火扉を閉めて、小頭に閂をかけさした。折から来合せた左片盤の炭車の行列は、直ぐにこの異常な通行禁止にぶつかると、峯吉の塗込めがあったばかりなので、夢中になって騒ぎはじめた。が、人びとは自分達と同じように密閉された係長や技師を見ると、直ぐにこれが悪性の密閉ではなく、なにか事情があっての通行禁止であることに気がつき、やがて起きはじめた騒ぎも、追々静まって行った。  ところが、そうして出合う運搬夫たちへ因果を含めながら、片盤坑を奥へと進んで行った係長と菊池技師は、しかしとうとう密閉された峯吉の採炭場の入口の近くで、全く予期しない出来事にぶつかってしまった。 厚木 歯科 秋の鹿は笛に寄る [http://2559828710.qzone.qq.com]