2012年9月29日土曜日

あの血の型は


「あの血の型は、今いったとおり、A型でもなく、またO型でもなく、B型でもなく、AB型でもなかった」
「えっ、じゃあ……人間じゃなく、けだものの血かね」
 人間の血液型は、四つに限っている。それのうちに入らなければ、あとはけだものではないのかと五助は首をかしげた。
「ある博士に調べてもらったが、けだものの血でもないのだよ」
 ふしぎなことを彦太がいった。人間の血でもなく、けだものの血でもない。そんなことがどうして信じられようか。
 ――だが、彦太は何か自信をもっているらしく見えた。
 その謎の正体は何?


兄の手帳


 雪こそなけれ、一造兄さんのこもっていた穴は、ひんやりと肌さむい。
 それに彦太が、血液型についてへんな話をはじめたものだから、五助は気味がわるくなって、背中に水をあびたようにぞっとした。
「五助ちゃんの手についていた血は、人間の血でもないし、けだものの血でもないことが分ったんだ。だからあの血は、兄さんのからだから出た血ではないから安心したまえ」
「兄さんの血でないと分ったのは、とてもうれしいよ」五助はほほえんだ。「しかし、人間の血でも、けだものの血でもないとすると、いったい何者の血だろうね。ああ気持が悪い」
「謎がそこにあるんだ。その謎をこれからぼくたちの手でときたいね」
「彦ちゃんには、すこしは見当がついているのかい」


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