2012年8月13日月曜日

帆村は梯子をもってこさせると

 帆村は梯子をもってこさせると、つかつかとその上にあがっていった。そして高価な洋酒の壜を、あれやこれやと矢鱈に選りつづけるのだった。
 店員の態度が、可笑しいほどがらりと変った。そこにない洋酒をいうと、倉庫にあるから只今持ってまいりますと、奥の方へすっとんでいった。それが帆村の覘いどころで、彼は梯子にのぼったまま、身体の蔭になっている側のスコッチ・ウィスキーの絵広告をそっと外し、その裏面に木村事務官から渡された紫外線灯をさしつけた。
「呀っ、なるほど!」
 帆村はかねて期したるところとはいえ、果然発展してゆく秘密数字の謎が秘密ペイントで書かれてあるのを発見して、愕きをかくし切れなかった。そこに書いてある文字は上のようなものであった。

[第一図]


       8
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74□)□□□□□□
    □□□2
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※ハ東京新宿追分「ハマダ」撞球場内ノ世界撞球選手「ジョナソン氏」ノポスターノ裏。
カフス釦ニ星印アリ


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