2012年4月21日土曜日

ところが、その酒が崇って、卒中のように倒れたなり

ところが、その酒が崇って、卒中のように倒れたなり、気の遠くなってしまった事が、二度ばかりある。一度は町内の洗湯で、上り湯を使いながら、セメントの流しの上へ倒れた。その時は腰を打っただけで、十分とたたない内に気がついたが、二度目に自家の蔵の中で仆れた時には、医者を呼んで、やっと正気にかえして貰うまで、かれこれ三十分ばかりも手間どった。平吉はその度に、医者から酒を禁じられるが、殊勝らしく、赤い顔をしずにいるのはほんのその当座だけで、いつでも「一合位は」からだんだん枡数がふえて、半月とたたない中に、いつの間にかまた元の杢阿弥になってしまう。それでも、当人は平気なもので「やはり飲まずにいますと、かえって体にいけませんようで」などと勝手な事を云ってすましている。

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