2012年9月21日金曜日

「あとからやってみましょう」


「あとからやってみましょう」
 と警部は礼を言った。
「射たれたとき、お嬢さんの身体はすこし右に倒れかかっていたそうですね」
「ほう、それをどうして御存知です」警部は驚愕を強いて隠そうと努力するのだった。
「あの晩、邸へ遊びに来た親類の女が云っていました。殺されたお嬢さんの直ぐ前に居たのだそうです」
「ああ、それでは若しや日本髪の……」
「その通りです」
「その御婦人はどこに住んでいらっしゃいます」
「渋谷の鶯谷アパート」
「お名前は?」
「赤星龍子」

 大江山警部は、夜に入っても、捜査課長室から動き出そうとしなかった。事件に関係のありそうな「謎」は後から後へと山積したものの、これ等を解くべき「鍵」らしいものは一向に見当らないのだった。
 この上は恥を忍び、あえて満都の嘲笑に耐えて、しっかりした推理の足場を組みたてて事件の真相を掴まなければならない。警部はその第一着として、笹木光吉の残して行ってくれた弾丸の飛来方向の計算にとりかかった。


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