それはいずれの桝形の中の数字であろうか。
結論を先にいうと、H=5、I=9 と決定するのである。なぜならば右にのべた A=4 の場合は 5952 であり、A=9 の場合は 5992 であり、この二つを比べてみると、千の位と百の位はどっちも同じ 59 である。だから当然 H=5、I=9 でなければならぬ。
「なるほど、これは面白い答だ」
と、帆村は口のうちに叫んだとき、彼ののった円タクは、新宿追分の舗道に向ってスピードをゆるめ、運転手はバック・ミラーの中からふりかえって、
「旦那、この辺でいいですか」
とたずねた。
帆村は大切なノートをポケットに収って、舗道の上に降りたった。
さあこれからハマダ撞球場へ乗りこむことになったのだ。うまく例のポスターを探しあてられるかどうか。行手は晴か曇か、それとも暴風雨か。
まだ夕刻のこととて、ハマダ撞球場は学生やサラリーマンで七台ある球台が、どれもこれも一杯だった。帆村はやむなくゲーム取が持ってきたお茶を啜りながら、台のあくのを待つよりほかなかった――という気持で、これ幸いと、場内のあちこちにぶら下っているポスターを眺めまわした。
痩身 口も八丁手も八丁