クログスタット では申しませう。私は世間に出る足場が取り返したいのです。身を立てなくちやなりません。それでご主人に助けて貰はうといふのです。この十八ヶ月間私の履歴には一點の汚れもありません。その間私は始終ひどい貧乏をしてゐました。けれども、もがきながら一歩一歩地位を作つて行かうといふ一心で滿足してをりました。ところをかうやつて突き落されてしまつた。ですから、もう一度元の地位に這ひ戻らしてさへ貰へばよいといふ譯には、今ぢや參りません。出世させて貰はなくちやならん。ようございますか、今一度銀行へ入れて貰つて、元よりも高い地位に据ゑて貰はなくちやなりません。ご主人は私のために地位を工夫して下さらなくちやならん。
ノラ 主人が、そんなことをするものですか。
クログスタット いや、なさるでせう、私はご主人の人物を存じてをります――よもや拒みはなさるまいと思ひます。そして私が銀行に入れば、見ていらつしやい、直に支配人の右の腕にはなつてみせます。トルヴァルト・ヘルマーでなくニルス・クログスタットが株式銀行は切り廻してご覽に入れます。
大和高田市 矯正歯科 クレジットカード一問一答